委員会について

委員会メンバーからのメッセージ

谷田貝 一男(やたがい・かずお)

谷田貝 一男 (やたがい・かずお)

自転車安全利用研究会 代表

一般財団法人 日本自転車普及協会 自転車文化センター在職中は学芸員として、自転車に関する資料の収集・整理とそれを後世に伝承していくための保管と、安全利用推進のための活動を行う。
現在は、自転車安全利用研究会代表。自転車の利用現場観察・事故データ分析・社会と自転車との関わりの歴史等を総合しながら、自転車の安全利用対策を学術団体や各種雑誌にて提案公表し、マスコミを通しての広報や講演・講習会で実践方法を伝えている。主な論文や書籍に「安全な自転車交通の実現に向けたソフト面からの方法について」(運輸と経済)「道路環境に対応した自転車安全利用の指導について」(交通安全教育)「自転車の大研究」(PHP研究所)などがある。

自転車事故の原因となる利用者の「意識」とは

自転車利用者の事故原因となる「意識」には「思い込み」と「自己都合」があります。

「思い込み」には自動車が来ないので信号無視しても大丈夫、相手が止まってくれる・相手が避けてくれるので一時停止しなくてもよい、運転操作に自信があるので歩行者間を通り抜けしても接触や衝突が起きない、いつも通行している道路で通行状況を知っているので交差点での一時停止や周囲確認を行わなくても大丈夫、などがあります。

「自己都合」には急いでいるから信号無視や一時停止を行わない、目的地が右側にあるので車道の右側を通行する、ペダルを踏み込んで再び走り出すのが面倒なので一時停止しない、などがあります。

安全利用のための「意識づくり」は歩行者の立場から

自転車を利用する人は、誰でも必ず歩行者としても道路を通行します。左右の見通しが悪い交差点で一時停止・左右確認という行動は、歩行者でしたら数秒で出来ます。たとえ自動車や自転車や歩行者の通行がなかったとしても、ひょっとしたら目前ですれ違うことがあるかもしれません。このとき、もし自転車で一時停止しなかったとすると事故発生の危険性が極めて高く、この危険性を体験・知ることが歩行時並びに自転車利用時に一時停止する習慣になります。

歩道を自転車に乗車して歩行者のすぐ脇を通行する人も、歩行者のときに自分のすぐ脇を自転車が通行した際には怖いという思いがあるでしょう。この思いが歩行者の脇を通過する自転車の存在を減少させ、歩行者の前で一時停止する習慣になります。

転倒事故を防ぐために

自転車事故全件数は減少していますが、転倒事故件数は減少していません。転倒事故の原因の一つに、サドルとハンドルの高さ調整の不適切による運転操作方法の誤りがあります。

サドルは長い距離を走行する場合を除き、サドルに座ったときに両足のかかとが地面に確実に着くことが出来る高さにしましょう。この高さにすると、交差点で一時停止したときに車体を傾かせずに支えることが出来るので、左右確認をしっかりと行うことが出来ます。また、走行中にふらついても直ちに一時停止して両足で自転車と身体をしっかり支えることで、転倒を防ぐことも出来ます。

ハンドルは両手で握ったとき、手の腕が真直ぐ伸びている・少し曲がっているのいずれかの姿勢にすると、ハンドルを使ったバランス操作を行い易くなります。