委員会について
委員会メンバーからのメッセージ

古倉 宗治 (こくら・むねはる)
公益財団法人自転車駐車場整備センター自転車総合研究所 所長
博士(工学)
東京大学法学部卒業。建設省、東京工業大学助教授、(財)民間都市開発推進機構都市研究センター、(財)土地総合研究所、 (株)三井住友トラスト基礎研究所等を経て、2018年から現職。
「進化する自転車まちづくり」(大成出版社)「実践する自転車まちづくり」、「成功する自転車まちづくり」(いずれも学芸出版社)、「自転車利用促進のためのソフト施策」(ぎょうせい)などの著書や国、地方公共団体の委員、講演会、雑誌への寄稿など、自転車施策の第一人者として活躍中。NPO法人自転車政策計画推進機構を主宰。
事故の最も多い場所は「裏道交差点」
一番多いのは「裏道交差点」、2番目に多いのが「幹線道路と脇道の交差点」、3番目に多いのは「幹線道路同士の交差点」です。さらに「歩道」 、次に「車道」という順になっています。
場所により、事故の原因や起こり方が違うことがわかっています。裏道交差点では見通しの悪さが原因となる出会い頭の事故がほとんどで、左側通行、一旦停止や安全確認が必要です。また、幹線道路の交差点では自動車による左折巻き込み事故が多いため、自動車から見えやすい車道を走ることが重要となります。場所や状況に応じたルールやマナーを知ることが大切です。
歩道での自転車事故が増えている
車道は危険で歩道は安全という神話がありますが、実際の事故件数は車道よりも歩道が多くなっています。自転車事故の数は年々減少していますが、歩道は事故が減っていません。
歩道での自転車事故のうち、最も多いものは自動車にはねられる事故であり、7割以上を占めています。沿道の駐車場の出入りの自動車が歩道の自転車をはねるというものです。
特に、自転車が駐車場側の歩道のぎりぎりのところを走ることによって、駐車場から出てきた自動車に出合い頭でぶつかり、事故が起こってしまいます。
自転車が車道を走ることで、沿道出入りの自動車と距離が出来、事故が起こりにくくなります。また、交差点の巻き込み事故も車道を走ることで、自動車側の見落としを防ぐことがわかっています。車道の左側走行は車から見えて事故が少なく、これを遵守することで安全対策になります。
自転車事故を減らすには、環境整備を進めより一層の自転車利用を
欧米諸国においては自転車の利用者が増えるほどに事故率は減ったというデータがあります。それには、行政が車道の安全な自転車走行空間を整備すること、自転車利用者のルール・マナーへの意識変化、自動車の運転者の意識変化、という三拍子の環境整備がそろうことが必要だと考えられています。
また、自転車の質についても、安全な対策が講じられていることが必要です。安心して乗れるということは快適性に繋がるので、利用の促進につながります。