自転車通学の実態

中高生の事故実態と事故率

事故実態イメージ

自転車事故の割合が高いのは“シニア”ではなく“中高生”!

子どもからお年寄りまで、気軽に便利に使える交通手段である自転車。通勤や通学、買い物といった普段の生活での移動手段であることに加え、サイクリングなど余暇を楽しむツールでもあります。一般財団法人自転車産業振興会の資料によると、2021年には我が国の自転車保有台数はおよそ57,244千台で、国民1人あたり約0.46台の自転車を持っていることになります。

このように生活に欠かせない自転車の年齢層別自転車利用率は、10代に比べ、50才代以上の中高年の利用率が高いことがわかります。

年齢層別自転車利用率(2021年)

にもかかわらず、各年代別の人口10万人当たりの自転車事故割合は、中学生及び高校生( 15-19歳)の事故率が、他の全ての年齢層や特にシニア層に比べ著しく高いことがわかっています。

年齢層別の自転車常用中死傷者数(2021年:人口10万人当たり)

Opinion Column

中高生の自転車事故が多い理由
古倉 宗治
一般社団法人日本シェアサイクル協会 会長
NPO法人自転車政策・計画推進機構 理事長

古倉 宗治 (こくら・むねはる)

  1. 1自転車利用や交通に関する経験が浅く、交通事故の危険性に対する認識が低い
  2. 2ルールマナーに関する教育を受けているものの自転車という車両を運転しているという意識や責任感が乏しく、実際の現場での行動に結び付きにくい
  3. 3客観的なデータ(事故の発生場所、相手方、事故態様、事故要因など)に基づく重点的かつ具体的な説明が手薄である

中学・高校生の自転車事故件数は減少しつつも
原因の約7割が法令違反で全体に比べても高い傾向のまま

他の世代に比べ自転車事故割合が高い中高生。通学指導もあり、中高生の事故件数自体は減少しているものの、その法令違反のある割合が、全年齢では66%であるのに対して、中高生では約7割と高くなっていることが明らかとなっています。

2015年6月の道路交通法が改正以降、「信号無視」「路側帯通行時の歩行者通行妨害」「歩行者用道路徐行違反」「通行区分違反」など14項目の違反者に対して、安全運転のための講習の受講が義務づけられました。しかし、中高生の年代は自動車免許取得などでの本格的な交通ルールを理解する機会が少ないため、学校指導の充実が必要ともいえます。

自転車事故における違反の割合(2021年)